(ドラマ)作りたい女と食べたい女

比嘉愛未主演、NHK夜ドラで放送された一回15分の全10回ドラマ。

tukuritai2.jpg

料理が好きで、ストレスが溜まるとついつい大量に料理を作ってしまう野本(比嘉愛未)。そして、同じマンションに住む、食べるのが大好きなご近所さんの春日(西野恵未)。その日もストレスで大量に料理を作ってしまった野本は、エレベーターで出会ったご近所さんが、大量のチキンナゲットを持っていて「一人で食べる」と言っていたことを思い出し、思い切って誘ってみた。春日は気持よく料理を平らげてくれて、それ以来、野本は春日を時々家に招待してごちそうすることに。

野本が病気になったりすると、薬などを買ってきてくれて、簡単な料理も作ってくれる春日。それから益々仲良くなり、二人でドライブに行ったり、ファーマーズマーケットに行ったり、海に行ったり・・・。そんなことをしているうちに春日のことが気になる野本。

調べてみたら、自分はレズビアンではないか?と思い始める。理解のある職場の同僚に相談したら、それは良いことだ、と受け入れてもらえる。それでも、本当にそうなのかどうか、自分でもうまく理解できないまま、年末へ。

実家からは帰省しないのか?と催促されるも、春日が帰省しない、ということで、二人で年末年始を一緒に過ごすことに。クリスマスは野本の体調不良で延期。年末に手巻き寿司パーティから紅白を見て、海に初日の出を見に行こう、と計画するが、二人とも途中で寝てしまう。結局、裏山の公園の頂上から初日の出を見て、全10回が終了した。

「つまらない住宅地のすべての家」の後番組、ということで、結構期待をして見てみた。やっぱり一回15分というのは見やすいし、ストーリーも簡潔にまとまっている、という印象がある。

が、今回の場合、ストーリー展開がほぼない、と言ってもいいぐらい、起承転結がなかったように思う。昨今のドラマは何ていうか、色々な要素を詰め込むために、毎回バタバタと展開していく、というものが多いが、その逆をいっている。

自分がレズビアンだと認識した野中が、春日に告白して付き合う、とか、実は春日は男性が好きな女性だった、とか春日もレズビアンを認め付き合うようになった、とか。そういうエンディングを期待していたが、何事もなく新年を迎えていた、というだけ。

でも、むしろそれが良かったのかもしれない、と思う。国営放送で、LGBTQを題材にしたドラマを扱い、それを肯定する方向のストーリー。変なドタバタよりも、何気ない日常を描くことで、LGBTQの人たちがどう思っているか、どんな生活をしているのか。そして実は、それが別に特別なことではなくて、LGBTQじゃない異性が好きな人たちと大して変わらない、ということを伝えたかったドラマなんだろうな、と思った。そういう意味では、良いドラマに出会えてよかった、と思う。

女優の比嘉愛未さん。朝ドラに出ていたことは知っていたが、彼女の演技を見たのは初めて。とてもやさしい感じの主人公を丁寧に演じていて良かった。昔の浅香唯さんを少し大人っぽくしたイメージが少しした。

また実は今回、女優が初挑戦という西野恵未さん。ウィキペディアで調べたら、実はミュージシャンでキーボードを弾く人らしい。それもメインではなくサポートミュージシャン。でも、とても素朴な春日を、やっぱこの人だよな、というぐらいのはまり役で見事に演じていたのは素晴らしかった。

もし続編があるなら是非見てみたい!

nice!(0)  コメント(0) 

(ドラマ)アトムの童

山崎賢人主演のゲームを主軸としたビジネス系ドラマ。

atomkids.jfif

昔、匿名のゲームプログラマー・ジョンドゥーとして名を馳せた山崎賢人と松下洸平。そして実はもう一人、アドバイザー的な共通の友人・桝俊太郎がいたが、出資を求めるために新興IT企業・サガスに交渉に行ったら、契約に仕方に問題があったため、自分たちが開発したゲームを乗っ取られてしまう。そして桝はそれがきっかけで自殺してしまう。

それ以降、別々に活動していた山崎と松下だが、老舗おもちゃ会社「アトム」の復興のために、協力してゲームを作ることになった。色々な試練があるなかで、超人気のゲームをつくることになったが、これも銀行の汚い資金操作の末に「アトム」の会社自体を乗っ取られてしまう。

その後、独立して「アトムの童」という会社を立ち上げ直す。おもちゃもゲームも少しづつ軌道に乗り始めた頃、サガスが買収されそうな状況になる。社長のオダギリ・ジョーは、山崎と松下に助けを願い出る。成功したら「アトム」の特許を返してもらえるという条件で、サガスに協力する山崎。でも、桝のことを許せない松下は協力を拒む。

山崎の協力のお陰で買収を免れたサガスは、アトムに特許を返還しめでたし、めでたし、で物語は終了。

まず感想をしては、「物語の進みが早すぎて、ワクワク感に欠けた」というのが第一印象。山崎と松下が、最初はいがみ合っていたのに、協力し合うことになったところは、結構あっさりしていて、「そんなに簡単に仲直りできたんだ」と思った。

ゲームという題材についても、元々自分自身がゲームをやる人間ではないので、山崎がゲームについて熱く語る場面でも、ナカナカ台詞が入ってこなかった、というのもあった。またアトムロイドという技術が、どういう特許なのか、というものよくわからなかったし、ゲームの技術関連でも少し詰めが甘いのかな、という感じがした。

今回のドラマは完全オリジナル作品ということで、半沢直樹や下町ロケットと比べるには失礼かもしれないけど、ちょっと物語に「捻り」というか、「そういう展開か!」というワクワク感があまりなったように思う。

最終回の「その後」のシーンについても、へぇ~、という感じもなかったし、何か最後までチグハグした感じ。

菅田将暉がべた褒めした、という俳優・山崎賢人についていえば、とっても頑張って演技していたと思うし、菅田将暉が褒める理由もよくわかった。
松下洸平は前回見たドラマ「最愛」で、とっても良い演技をしていたし、今回も期待していた。そして演技自体はうまいし、見ていて安心はできた。二人とも良い演技をしていただけに、ドラマのストーリー展開の乏しさがとても残念。

他の出演陣、風間杜夫、山崎務、麻生祐未など豪華なキャストが並んでいたのに、ちょっともったいない感じだった。これまで数々の名作を出してきたTBSの日曜劇場枠なので、次回作に期待したい。

nice!(0)  コメント(0) 

(ドラマ)ファーストペンギン!

日本テレビ系列のドラマ、「ファーストペンギン!」を見た。

firstpengin.png

これは実話を元にしたドラマ、ということで見ることにした。あと堤真一さんも出演されているので、それも興味があった。堤さんは前回の「妻、小学生になる」でも好演されていたし、堤さんが出演される最近のドラマは恋愛系ではないので見やすい。

シングルマザーで行き場のなくなった主人公・岩崎和佳(のどか)を演じる奈緒。最初は旅館の仲居などをしていたが、「コンサル、英訳・和訳などやります」みたいな名刺を見た、さんし船団丸の片岡(堤真一)が連絡を取る。

「浜を守りたいんじゃ」。それまでは、取ってきた魚は全て漁協の言い値で引き取られ、両氏の仕事はキツくて、安月給で、若い人たちがどんどん減っていく世界だった。

奈緒の子供(5歳ぐらい?)は、都会では魚が食べられなかったが、取れたての新鮮な魚は問題なく食べれることができた。魚を漁協に通すと冷凍され、時間が経ち、鮮度が落ちるのが原因だったようだ。

それなら漁師が取った魚を直接、消費者に届ける「おさかなボックス」をやってみたらどうだろうか?と提案しやってみることに。そのためには、市、県、農林水産省の認可が必要だったが、あれやこれやと手を尽くし、なんとか認可を取れた。

知らない間に話が進んで、勝手なことをされた漁協は、さんし船団丸に氷や船のガソリンの供給を止めたり、嫌がらせをするように。また漁師も、大変な漁の後に、魚を箱詰めしたり血抜きをしたりするのを嫌がって、やりたくない!と反抗したり・・・、数々の困難を乗り越えていく。

ある程度、「おさかなボックス」が軌道に乗ったころ、まだまだ許せない漁協は、政治家先生に助けを求める。そして新人漁師の中に刺客が入り、船の転覆するように仕掛け、高額な網をダメにしてしまうような事態になった。さらに漁協も、さんし船団丸に貸していたお金の返済を要求。

そのころ、農林水産省に講演を依頼されていた奈緒は、その時に知り合った元官僚のコンサルに助けを求め、出資をしてもらえることになった。しかし、その出資元が外国企業で、漁場を乗っ取られる可能性があるため、出資を断ることにした。

話し合いの結果、漁協から再度出資をしてもらうこと、おさなかボックスを続ける代わりに、奈緒が漁港から去る、ということで決着した。そこで物語は終了。

元のストーリーは、実話を元にしているらしいが、実際には漁協はそれほど悪くないらしく、また後半は完全にフィクションになっているらしい。モデルとなった女性は今も船団丸でおさかなボックスをやっているらしいし、ドラマは結構デフォルメをしているとのこと。

https://www.kuchizuke-movie.com/category/firstpenpenguin/

日本経済がどん底のまま、停滞している中で、こうした新しい発想で新しいビジネスが出てくることは、とても良いことだと思うし、そういう状況において、ある種、日本的でもある、保守的な立場の人たちが、リスクを取らないで変化を恐れている状況は、考えさせられるところが多々あった。

これはドラマの中だけの状況ではなく、日本のほとんど全ての業種、業界において保守的になっているんだと思う。失敗が許されない風土。年上の言う事が絶対で、なかなか新しいことが始められない若者。年上がもっと若い発想を尊重し、求めて、そして若者がどんどん出てくる社会にならないと、日本経済は復活しないだろうと思う。

ドラマでは、おさかなボックスがメインでストーリーが進んでいくが、僕が好きなのは、周りの人たちのちょっとしたサブストーリーがあったこと。堤真一とその息子の関係、梶原善の息子・上村侑、ママ友の志田未来、若手漁師の鈴木伸之・・・、最終回の最後に流れる「その後」は「よかったねぇ~」と思わせるものばかり。これを見せるために、これまでの10話があったんだなあ、と思った。

なかなか面白いドラマだった。堤真一さんの次回のドラマも楽しみだ。
nice!(0)  コメント(0)