(ドラマ)春になったら

とんねるず・木梨憲武と奈緒のダブル主演。奈緒さん主演のドラマを鑑賞するのは「ファースト・ペンギン」以来。

3か月後に結婚する娘と、余命3か月と宣告された父の、ハートフル・ホームドラマ。

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木梨憲武さんの朝のTBSラジオなどを聞いていたので、どんな演技をするのかな?というのがまず興味があった。木梨さんの演技は、多分、40年ほど前に見た、映画「そろばんずく」以来だと思う。

第一話でいきなりお互いの状況を伝え合う二人。椎名瞳(奈緒)は東大出身の売れないお笑い芸人、それもバツイチで子持ち、というかずまるくん(濱田岳)と結婚したいと言い出す。そんな経済的にも不安定な相手との結婚に断固反対する椎名雅彦(木梨)。

お互いに「結婚までにやりたいこと」「死ぬまでにやりたいこと」を掲げて、試行錯誤しながらもやりたいことを進めていく二人。木梨さんは高校の同級生)に会って謝りたい、と言ってなんとか探し出して会うことができた。同級生役は中井貴一さん。確か実年齢でも木梨さんと同い年で仲が良かったはず。

最初は「結婚を止めさせる」と言っていた木梨さんも、奈緒さんと旅行に行ったりしながらお互いに話し合って、最後は「瞳の結婚式に出席する」という目標を立てるまでになった。

最終回では、木梨さんはほぼ末期で寝たきりで、酸素吸入器をつけて車椅子移動の状態。それでも本人の希望通り、在宅治療になり担当医も訪問対応してくれる。そんな中、瞳とかずまるの結婚式が行われた。場所は自宅前の道路。下町の細い路地で少し行くと鳥居もある。

参加者は家族と親戚、友達のみ。かずまるの家族が全くいないのがちょっと不自然だったけど、それはまぁよしとする。その後、披露宴会場に行くが会の名前は「旅立ちの会」。結婚する二人の旅立ちと、もうすぐ天国に旅立つ父親のための会。

木梨さんが「葬式に呼ぶ人リスト」に書かれていた人たちが勢ぞろい。中にはケイトさんという黒人の歌手の人が歌ってくれたり大盛り上がり。ケイトさんの部分、もっと特別に盛り上がるのかな?と思ったら、結構一瞬で出番が終わったようで少しビックリ。

その後、瞳から木梨さんのお姉さんへ電話があり。そして葬式後の場面。最後には、瞳の家にかずまる父子が同居し始めて物語は静かに終わっていった。

ドラマが始まって3話ぐらいで、ネットニュースでは「ノリさんの台詞が棒読み」とか否定的なコメントがあったけど、他のニュースでは「ノリさんは結構、アドリブを入れているらしい」というコメントもあった。僕が何の疑いもなく見た感じでは、あの演技がとても自然なノリさんの普段の雰囲気で、台詞も自分が言いやすいように、そして自分らしさが出るように言い換えているのかな、と思った。今回の「椎名雅彦」という役はノリさんがぴったりだと思った。

今回、このドラマを見て、どうしても僕が言いたいのは、映像がとっても綺麗だった、ということ。テレビドラマのカット割り、というよりは、映画のカット割り、というのが正しいと思う。光の当て方、とかカメラを置いてある場所、ピントの合わせ方、どれをとっても映画のシーンだった。それが物語の性質上、とってもマッチしていて、ほのぼのしたストーリが余計に際立った。

今回、監督を勤めたのが松本佳奈さんと穐山茉由さんという二人の女性。松本さんはCMディレクターを経てテレビドラマ監督になった方。穐山さんは一般職で就職するも、30歳で映画の専門学校に入り直し、映画の世界をメインにしてきた方。カット割りは穐山さんの意向が大きいのかな?と思いつつ、松本さんも映画を何本か撮っているので、二人の好みなんだろうな、と思う。

今回のストーリーについて、昨今のテレビドラマに求められている「伏線」というのが全くないドラマだったし、奇想天外も予想外も何もない。そして最終回は、主人公の二人にとってベストな形で終わる。刺激が欲しい視聴者には物足りないかもしれないけど、僕としてはむしろ、こういうドラマがあるべきなんじゃないかな、と思う。

人の死は悲しいものではない。誰にでもいつか来るもの。それを僕らは受け止めないといけない。特に死にゆく人が、自分の人生を全うして、その人生に充分満足しているなら、笑顔で送ってあげようよ、という制作側のやさしさが伝わる。

また最初は親に反対された結婚でも、やっぱり一人でいるよりは二人の方がいいよね。今回はバツイチ子持ちだから3人になったけど、家族がいる方がやっぱり楽しいよね。というメッセージ。ありふれた生活に、ありふれた毎日。でもそれがとっても大切な時間なんだ、ということを改めて教えてもらったドラマだった。

「最終回は泣くのかな?」と思ったけど、泣かずに暖かい気持で見終えたのは良かった。そういう風にしてくれたのは、二人の女性監督のやさしさかな、と思う。二人の次回作に期待したい。

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