森崎緩「総務課の渋澤君のお弁当、ひとくち召し上がれ」

前回読んだ、「総務課の幡上君のお弁当~」のシリーズの第2弾。

shibusawa.jpg

幡上君の時に出てきた、幡上君と同期の渋澤君。入社3年で東京本社に転勤になった。一人暮らしを始めた渋澤君は、東京2年目でちょっとホームシック。そんな時に同じ総務課で働く芹生さんと仲良くなる。高校の修学旅行で北海道に行けなかった芹生さん。そんな芹生さんに出身地のグルメを楽しんでもらうべく、自分で料理を始めた渋澤君。幡上君にレシピを教わりながら、芹生さんとの距離を縮めていこうとするが・・・。

芹生さんは身長が高く、高校の頃はバレーボール部。見た目がボーイッシュなことから、高校時代は後輩の女子からバレンタインデーのチョコをもらっていた。でも本当は一人の女性として綺麗で可愛くありたい、と思っていた。社会人になって、高校の同窓会に参加した芹生さん。女らしく綺麗な姿で参加するも、みんなから「似合わない」と言われ落ち込み、早々に同窓会を後にした芹生さん。

そんなことがあったせいで、渋澤君の告白にも「ごめんなさい」。「私は人から好かれるとは思わない。これからも一人で生きてきます」と言われ、振られて落ち込む渋澤君。

半年後、仕事中にテーブルを一人で運ぼうとして腕をケガしてしまった芹生さん。傍にいた渋澤君はすぐに芹生さんを病院へ行かせる。そこで気が付く芹生さん。「やっぱり一人では生きていけない。頼りが必要な時には誰かに頼りたい。好きな人に助けてほしい」と悟った芹生さん。渋澤君に連絡して無事にカップル成立。その後、デートを重ねて、最後は渋澤君のプロポーズでおしまい。

今回も、ほんわかした恋愛ストーリーを楽しませてもらった。なんの捻りもミステリもない、料理をメインにした物語の進行は、ただただ安心しきって読み進めることができる。

北海道の人たちが、すごく方言がある、ということも知らなかったし、色々な名物料理がある、ということも知らなかった。北海道に旅行に行ったことがあるが、地元の皆さんは普通に標準語を話していたし、イントネーションとかで標準ごとの違いを感じたこともなかったし。また、ラーメンとお寿司はおいしかったが、スープカレーとか十勝風豚丼なんて聞いたことなかったし。後半にレシピが書いてあったが有難かった。

また本の最後には、作者とか解説者のあとがきがあるのかな?と思ったら、それまで渋澤君目線で書かれていた小説が、芹生さん目線の文章で、その後の付き合い始めた二人について、芹生さんの正直な気持ちが書かれていて、それがとっても良かった。あぁ、二人とも幸せになったんだね。これからも幸せにね~、とただただほっこりする小説。

物語がジェットコースター的にスピード感があって、伏線がいっぱいある小説もいいけど、たまにはこうした、のんびりする小説もいいもんだ、と思った。このシリーズはあともう1冊あるので早く読みたい。また改めてもう一度、幡上君の本を読んでみたいと思った。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。