(ドラマ)お別れホスピタル

NHKのドラマ「お別れホスピタル」を見た。

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1シーズンの10話ぐらいのドラマだと思ったら4話で終了した。
NHKのウェブサイトには「沖田×華氏が療養病棟を舞台に描く傑作コミックをドラマ化」との紹介があった。開始前から全4話としているので、視聴率がどうのこうの、という訳ではないらしい。検索したら漫画の画像も出てきた。ドラマはとっても真面目に、深刻に物語が進んでいくが、漫画の作風を見ると、とてもほのぼのとしたイメージで、ちょっとギャップを感じた。

「お別れ」というだけあって、メインのテーマは「死」だと思う。ウェブサイトのドラマの紹介には下記のように書かれていた。

「ある街の病院にある療養病棟。そこは、余命数か月と判断される人や、病状に加え認知症などで日常生活が困難な人がたどり着く場所。その最前線に立つ看護師、辺見歩は、意思表示の難しい患者さんのわずかな変化も見逃さず、そこでの日々が最善であるよう努める。」

人生残り僅かな人も、認知症や寝たきりになってしまった人も、色々な事情があり、人生があり・・・それを通り過ぎて「今」の状況になっている。そしていつか死んでいく。

それを見届ける看護師や医師は、その全ての人たちの「事情」を受け入れて、日々業務に励んでいる。ちょっと感傷的な性格の人だとちょっと難しい職業かもしれない。逆に楽天的に割り切った方がいいのか?でも、あまりにも他人行儀だと患者やそのご家族にも失礼に当たるだろうし。なかなか難しい職業だ、と思った。

一番印象的だったのは、ガンで余命間もない80過ぎの夫を8年ぐらい介護し続けて来た妻。最終的に夫は療養病棟にやってきた。それまでの介護疲れなのか、妻も倒れてしまい同じ病室に入院。何年も介護してきたからか、夫が何をしてほしいか、何でも理解できた。しかし、それまでの人生、妻を思いやってこなかった夫に嫌気がさしている自分に気づいた妻。夫の最後が近くなった時に、夫の耳元でそっと「はやく逝ってください」とつぶやく。たまたまそれを聞いてしまった主人公。なかなか複雑な状況すぎて色々と考えさせられた。

主人公の岸井ゆきのは、映画「犬は食わねどチャーリーは笑う」で香取慎吾と共演した女優さん。今回もとても自然体の演技をしていて、役にぴったりだと思った。また医師役の松山ケンイチも、色々な葛藤をしながら患者と向き合っていく役を良い感じでこなしていて、やっぱり演技が上手い人だな、と思った。

とても勉強になったし、考えさせられたドラマだった。

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森崎緩「函館グルメ開発課の草壁君 お弁当は鮭のおにぎらず」

森崎緩のお弁当シリーズの第3弾を読んだ。

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ちなみに第一弾、第二弾、第三弾はそれぞれ、
「総務課の幡上君のお弁当 ひとくちもらえますか?」
「総務課の渋澤君のお弁当 ひとくち召し上がれ」
「小料理屋の幡上君のお弁当 皆さま召し上がれ」
だった。

大学の水産学部を卒業して、缶詰の食品会社に就職した草壁君。それと同時にご両親が仕事の都合で東京に引っ越しをしてしまった、留守宅を任された草壁君は緊張しながら初出社を迎える。

配属された開発課では加賀課長(女性)、中堅の小野寺さん(男性)、入社3年目の先輩・中濱さん(女性)に続いて4人目の社員となった。会社のある場所が、夏の観光シーズンになるとレストランもコンビニも混んでいてお昼ご飯にありつけない場所にあるため、開発課の皆からお弁当持参を推奨される。

中濱さんに「イチイさんのレシピサイト」を教えてもらってお弁当作りを始める草壁くん。最初は簡単なものから始まり、成功体験を繰り返して徐々にレパートリーも増えていった。

色々な料理を試していくうちに、「イチイさんが誰なのか?」が気になる草壁君。使っている食材や文章中の言葉から函館に住んでいるのではないか?と予想する。それを中濱さんに打ち明けると「私はイチイさんが誰なのかなんて気にしない」と一蹴されてしまう。

しかしある日、開発課の4人がランチを食べようとしたときに、中濱さんが「私は外で食べます」と出て行ってしまう。追いかけた草壁君が見たのは、イチイさんが普段サイトで掲載しているお弁当に使われている曲げわっぱだった。ということで、イチイさんの正体が中濱さんだったことが判明する。

そこからお互いのことを話し出す二人。中濱さんは片親でお母さんが一人で育ててくれたとのこと。そのお母さんのために毎日お弁当を作っていた。

草壁君は、小さい時にご両親が交通事故で亡くなったこと。その草壁君を叔母が引き取って育ててくれたこと。だから故郷の函館に戻ってきて就職した。

そこから草壁君が中濱さんに告白。「まだ入社4か月の新人だから数年経って一人前になったらお付き合いをしてください。」その言葉に中濱さんも素直に受け入れた。

今回も期待を裏切らない、ほんわかと暖かいストーリー展開。調理の仕方の表現も、読んでいてちょっと面倒かな、と思う時もあるけど、草壁くんが一生懸命料理を作っている、という情景が浮かんでくるので、そのまま読み進める。

そして森崎緩のお弁当男子シリーズで一番重要な幡上君も登場。草壁君たちの食品会社のお得意さんとして、草壁君と中濱さんが訪問するところから始まり、商品開発のアドバイスなどをしてくれる幡上君。

開発部のプロジェクトが一段落したところで、打ち上げとして開発部が宴会をするところが小料理屋はたがみ。さらにお盆に東京から戻ってきた両親を招待したのもこのお店。

そして話の中で、幡上君の奥さんの真琴さんが実は懐妊していて、もうすぐ赤ちゃんが産まれる、という嬉しいニュースも出てきて、読んでいて嬉しくなった。

なかなか難しいとは思うけど、このシリーズは是非今の若い人たちに読んで欲しいと思う。何も特別な伏線とかもない、ただただありふれた日常生活が描かれているだけだが、それが実はとっても幸せなことなんだ、ということを感じ取ってもらえたら、と思う。

お弁当男子シリーズ、これからもどんどん続いていってほしい、と思う。

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