(ドラマ)我らがパラダイス

NHK・BSプレミアムで放送されたドラマ。主演は、木村佳乃、高岡早紀、堀内敬子。

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原作は林真理子の同名小説より。NHK総合ではなくBSプレミアムにも関わらず、かなり豪華なキャストでびっくりした。メインのトピックが「親の介護問題」ということもあって、どん物語なのかもとっても気になった。そのトピックを林真理子がどう描いたのか?というのもとても興味深かった。

木村佳乃ら3人は、超高級老人ホームに勤める職員。木村佳乃は看護師、高岡早紀はダイニングのサーバー、堀内敬子は受付。あるとき、木村佳乃の母親が動けなくなり、介護が必要になった。最初は自宅で面倒を見ようとしたが、無職の弟が母親の貯金をねだってきた。それを避けるために木村は、自分の母親と超高級老人ホームで意識のない寝たきり老人を入れ替え、寝たきり老人を安い介護施設に入居させてしまった。

その後、堀内敬子の父親も痴呆症になるが、お金がなくてやはり預けられるところがないので、同じような寝たきり老人と入れ替えてしまった。さらに看護センターのもう一人のナースも自分の母親と入れ替えてしまう。

その他にも、高岡早紀は入居した独身老人と結婚したり、入居者同士がやはり結婚しようとするが息子たちに受け入れられない、とか、老人介護、老人ホームでの出来事が色々と発生する。

最後は、入れ替えた寝たきり老人が亡くなってしまい、そのご遺体を元の超高級老人ホームに連れ戻す、というドタバタがあり、支配人にバレて全員解雇されてしまう。また、どのドタバタに加担したということで、何人かの老人入居者も出ていくことになった。

最後は、元入居者の渡辺正行に呼ばれて会いにいくと、「使っていない一軒家がある。そこでみんなで暮らそう」という提案がされる。木村は「いいですね。我らがパラダイスですね」といって物語は終了する。

見始めて最初の時点で、入れ替えられた寝たきり老人が、介護施設で亡くなったらどうするんだろう?という疑問があって、最終回でそれが出てきたときには、やっぱりな、と思った。この作戦の一番の弱点だと思ったから、そこが物語の山場になると思った。でも最終的に、施設側が大問題にしたくない、という配慮から解雇だけで済んだのは、ドラマらしいな、と思った。

少子化とそれに伴う人口減、これから日本が直面する大きな問題を、日本全体ではまだ他人ごとのように思われているかもしれない。実際に影響が出るのはもう少し経ってからだろう。

介護施設に入居したいけど、空きがない。介護する職員もいない。子供がいない人は面倒を見てくれる家族もいない。今までの経済停滞のせいで介護を受けるための資産もない。

https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2021np/index.html

2021年の統計によると、第一次ベビーブームの1947年~49年生まれが72~74歳。

まずこの年代が80代を迎える2027年~30年。この年代が各年200万人ぐらい。そのころ働き盛りの20代後半、例えば2000年~03年生まれはというと各年120万人ぐらいなので6割。この中で4割増の老人の介護をするとなると、介護職員の確保は難しくなるだろう。給料を上げて募集すると、経済的に入居できない老人が出てくる、それを税金で補おうとすると問題はもっと深刻化する。

第2次ベビーブームの1971年~73年生まれが47~50歳。この年代が各年200万人。この世代が80台になる30年後とすると、介護する年代はちょうど今、生まれてきた赤ちゃんの年代か?先日のニュースでは年間の出生数が80万人を切った、とか言っていたから、介護してくれる年代は半分もいない。

今回のドラマは林真理子さんが少し面白おかしくストーリーを立ててくれて、真面目な要素を入れつつも基本コメディ仕立ての作品に仕上がったが、その裏には本当に深刻な問題が待ち構えている、ということを認識しないといけないのかもしれない。

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