(ドラマ)しずかちゃんとパパ

吉岡里帆、笑福亭鶴瓶、中島裕翔が出演しているNHKのドラマ。

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吉岡里帆の父親の笑福亭鶴瓶は、生まれつき耳の聞こえないが、写真屋を営んでいる。笑福亭鶴瓶の奥さん、つまり吉岡里帆の母親も耳が聞こえなかった。吉岡里帆が生まれてすぐに他界している。

ある日、建設会社と市役所の人たちがやってきて、吉岡里帆と笑福亭鶴瓶の住む商店街がスマートシティ建設の対象地域になる、という話を持ってきた。もちろん反対する商店街の人たち。その反対する人たちを説得させるために、建設会社から市役所に派遣されたのが中島裕翔だった。中島裕翔は発達障害があるらしく、人の心やその場の雰囲気を読むのが難しく、また喜怒哀楽を表現することも得意ではなかった。

最初は吉岡里帆も含めた町中の人たちから嫌われていた中島裕翔だったが、色々な出来事があるうちに惹かれあい、吉岡里帆と付き合うようになった。最初は反対していた笑福亭鶴瓶もだんだんと理解を示すようになった。

中島裕翔の誠実な活動のお陰で、商店街の人たちとも理解しあえるようになり、スマートシティ計画も理解してもらえるようになった。

そんなある日、中島裕翔にパナマ赴任の辞令が来る。一緒に来てほしい、と頼む中島裕翔に最初は断る吉岡里穂。しかし、笑福亭鶴瓶に「自分の耳のせいで親離れできないんじゃないのか?」「お前がいなくても自分一人で生きていける」と言われ最終的には結婚して、パナマに一緒に行くことに。

結婚前日、笑福亭鶴瓶と吉岡里穂はビールを飲みながら語り合う。笑福亭鶴瓶と奥さん、二人が住む「音のない世界」。それを娘の名前「静」にした。

ウィキペディアを見ると、プロデューサーの方が「ろう者はどこにでもいるし、特別なことではない。その力強く生きている親子の、ひとり立ちを描きたい」と書かれていた。僕らは身体障害者に対しては、どうしても「かわいそう」という感情を抱いてしまうが、当の本人たちやその家族は意外とそうでもなかったりするんだな、というのをまずこのドラマを見て思った。

ただ普段「普通の人と同じように接しよう」と心がけていても、見つめ方や自分の表情で「憐れんで見ているのではないか?」と思われているような気もして、毎回そういうことで自分自身が葛藤している。

さて、笑福亭鶴瓶はろう者というわかりやすい障害があるが、その父とずっと一緒に過ごしてきた吉岡里穂も、人とは違った性格や行動をとってしまっていたことに気が付く。ろう者といるとどうしても相手の表情をじっと見てしまったり、手振りそぶりが大げさになり、それが相手を不快にさせてしまったりしていたらしい。

また中島裕翔の場合、発達障害のような性格で、あまり感情を表に出さない、とか場の空気を読むことが苦手だったりする。彼もまたどこか足りないところがあり、しかしそれをどうしていいかわからない、という状況。

このドラマを見ていると、人間はみんなどこかで苦手なものがあったり、足りないところがあるんだということがわかる。そしてそれを無理に克服しようとしてもうまくいかず、結局は自分らしく生きていくことが一番いいんだ、というところに落ち着く。

そしてこのドラマの一番の課題である、ひとり立ち。何かに怖がって、現状打破ができない人たちは多いと思うけど、現状維持が果たして自分にとって良いのだろうか?それが自分の将来にとって良いのだろうか?ダーウィンだったか誰だったか、ある生物学者が言っていた言葉を思い出す。「強い動物が生き延びるのではない。環境に応じて変化していく動物が生き延びるのだ」と。

だとすると、人も常に変化していなかないと成長もないし、将来もないんだ、と思う。そんなことを思い出させてくれたドラマだった。

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